胎児超音波検査について

超音波(エコー)検査は、痛みや被ばくを伴わない非侵襲性の検査で、妊婦さんでも安全に繰り返し受けることができます。

胎児超音波検査の目的

胎児超音波検査は、「胎児精密超音波検査」や「胎児超音波スクリーニング検査」、「胎児ドック」とも呼ばれ、出生前診断の一つとされています。
施設によって観察項目は異なりますが、チェックリストなどを用いて胎児の全身を長い時間(約20分間)をかけて詳細な評価をする精度の高い検査です。
妊婦健診で行う通常の超音波検査では主に胎児の発育評価に焦点を当てており、異常を見つける目的では行われません。
胎児精密超音波検査によって、万が一異常が発見されたり疑われる場合でも、適切な分娩施設を検討する時間的余裕ができ、出生後直ちに医療介入へつなげられるメリットがあります。
検査は専門のトレーニングを積んだ医師や超音波検査士が行うことが望ましいとされています。

胎児超音波検査の時期

妊娠初期(11~13週頃)・中期(18~20週頃)・末期(28~30週頃)の3つの時期に分けて行われます。
胎児は成長に伴って形態が大きく変化していくため、妊娠時期によって観察の適性時期が異なります。
あまりにも小さい時期だと身体の構造や形態が不明瞭、反対に大きすぎると骨化が進むために観察が難しくなります。

超音波検査の限界

超音波検査は非確定検査であり、たとえ検査結果に異常がなくても先天性の病気がないとは言えません。
胎児を直接見ているわけではないのですべての異常がわかるわけではなく、機能面(視覚や聴覚など)、染色体や遺伝子の異常は超音波検査ではわかりません。重症とされる病気も出生前には所見が乏しく、発見できないこともあります。
超音波検査はリアルタイム性に優れていますが、胎児の位置や向き、母体の腹壁など検査時の条件に左右されるため、詳細な評価ができない場合があります。

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