シニア世代の5人に1人が罹患すると言われている骨粗鬆症。これは、骨量が減って骨が弱くなり骨折しやすくなる病気です。また、骨粗鬆症は、「silent disease」とも言われ、骨折するまでなかなか症状にあらわれないのが怖いところです。しかし、1度折れ始めてしまうと負の連鎖が始まり、特に、高齢者の骨折は寝たきりの原因にもなります。このため、予防が何よりも大切です。
骨密度検査で、骨の状態をチェック。積極的に検査を受けて、ご自身の骨量をまず知ることから始めましょう
骨粗鬆症を予防するには、まずご自身の状態を知ることが大切です。骨密度は、DEXA法という検査で測定します。腰椎と大腿骨の骨密度を調べるのが一般的。検査時間は10分程度で、痛みもなく放射線被ばくの心配はほとんどありません。
当院では、最新の骨密度測定装置を導入しています。
こんな方は、特に、骨密度検査を受けることをお勧めします
女性の場合、骨密度はエストロゲンという女性ホルモンと密接に関係しており、閉経というイベントを境に少しずつ低下していきます。また、「閉経後」ということだけでなく、以下に該当する方は積極的に検査をお勧め致します。
- 骨折したことがある
- ご両親が大腿骨近位部の骨折をしている
- 早発閉経
- 関節リウマチの治療中
- 糖尿病の治療中
- 乳がんのホルモン治療中
- 卵巣手術既往
- エストロゲンを抑えるようなホルモン治療をしている
- 産後・授乳中(特に、もともと痩せているかた)
- 喫煙・飲酒
- 摂食障害
- 10-20代の頃に無月経の期間があった
- 運動不足
- 痩せている
- アスリート
- 転倒しやすい
骨粗鬆症はまずは予防が大切。日常生活でできることは?
骨密度検査を受けられましたら、患者様それぞれの状態に合わせて運動療法・食事療法・薬物治療の提案を致しますが、まずは「今ある骨密度をいかに下げずに維持するか」が大切です。日常生活のなかでご自身でできることは以下の3点です。
- 運動習慣をつけること。スクワットなど、無理のない範囲で自分に合った運動を見つけ楽しみながら続けることがコツです。
- カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を積極的に取り入れましょう。ビタミンDは、きくらげ・鮭・キノコなどです。ビタミンKは、納豆・野菜類(小松菜・モロヘイヤ・ほうれん草など)がお勧め。
- 紫外線にあたりましょう。日光にあたることで皮膚のビタミンDが活性化されます。
お薬での治療が必要と判断した場合は、上記の運動療法や食事療法に加えて、様々なお薬を提案致します。ビスフォスフォネート製剤(骨吸収抑制剤)やSERM、女性ホルモン剤、ビタミンD製剤、ビタミンK製剤など様々なお薬がありますので、患者様の状態に合わせて使い分けながら、骨密度の維持・向上を図ります。
人生100年時代。いくつになっても自分の足で歩き続けるために、骨の健康は欠かせません。骨粗鬆症の予防と治療は、年代限らず大切なことです。あなたの骨の健康を生涯にわたりサポートいたします。