9人に1人。
乳がんの生涯罹患リスクは10.6%、つまり、女性の約9人に1人は乳がんに罹患します。
「がん」とは一体なに?どうやって発症するの?
学生時代、生物の授業で習った“細胞分裂”を思い出してみてください。
生物の体は、既存の細胞をコピーし、分裂を繰り返すことで新しい細胞に入れ替わり、常に“部品交換”を行っています。
そのとき、コピーの過程でミスが起こり、遺伝子の一部を余計にコピーしたり逆にコピーし忘れたりすると、「コピーミス細胞」が生まれます。通常この細胞が自然に死滅したり、免疫細胞によって排除されたりしますが、それが間に合わずにミス細胞が優位になると、どんどん増殖し、やがて“塊”となります。これがいわゆる「がん」です。
乳がんの発症が増えている理由
近年、乳がんの発症は増加傾向にあります。その要因として、遺伝的なものに加え、食生活やライフスタイルの変化が指摘されています。「好発年齢」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。年齢別でみると40歳以上で罹患率がぐっと増えますが、どの年代にも発症の可能性はあります。「閉経したから大丈夫」「まだ若いから」「出産経験があるから」といった理由で安心するのは危険です。
私たちにできること
では私たちには何ができるでしょうか?
そのひとつが「早期発見」です。残念ながら、乳がん検診の受診割合は、アメリカ80%に比べて日本では41%と低い現状がありますが、定期的に検診や人間ドックを受けることで、乳がんの早期発見につながります。
「早期発見」と一言で言っても、それが具体的に何を意味するのかを知ることが大切です。がんは時間とともに増殖しますが、早期発見できれば、治療の選択肢が広がり、身体への負担も少なくて済みます。何よりも、治療にあてられる“時間”の余裕が生まれます。
こうした具体的なイメージを持つことが、早期発見の重要性をより深く理解することにつながります。
さらに、進行した乳がんは乳房内にとどまらず、リンパ節を介して骨・肺・肝臓などへと転移していきます。命を守るためにも、少しでも早い発見と治療が必要です。
これこそが「早期発見」の本当の意味です。
“ブレスト・アウェアネス”という考え方 ~乳房を意識する生活習慣~
乳がんは、自分の手で触ることのできる唯一のがんです。月に一度、月経が終わったタイミングや決まった日にちに、ご自身で乳房のチェックを行うことも非常に大切です。日頃からご自身の乳房の状態を知ることで、いつもと違う変化が生じた時に気付くことができます。しこりかな?引きつれかな?など、変化に気づいたらすぐに医療機関へ受診しましょう。
「気づく力」が、あなた自身を守ります。